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2003年1月・2月・3月

がまんすること2003.2.5
お迎えに行くと今日もお友達が走ってきて、最近の由紀子の様子を教えてくれました。
このところ、授業中によく泣いているようです。

理由は回りの子ども達にも解らないようですが授業中かなり迷惑をかけてしまっているのは確かです。
今日も、帰る間際に大泣きをしてしまった由紀子。
私の顔を見るなり「ごめんなさい!」といいました。

「どうしたの?」と聞いても
『泣いちゃったの!』としか答えない由紀子の前で、どうしたものかと気持ちがすっかり落ち込んでしまいました。
転校を前にしてどんどん難しくなってゆく由紀子の学校生活に不安が募るばかりです。

以前、もう30歳を過ぎた自閉症の方とお母様にお会いした事があります。
自分で、ケーキ屋さんの店主として自立をしている〇〇さんはステキな大人の自閉症の方です。
幼い頃の自閉症の症状は由紀子以上に激しいものがあったのに、今ではちゃんと自分の感情のコントロールをできるようになって、落ち着いて生活をされています。

この方を育てたお母さんの努力には本当に頭が下がる思いがします。
それでも、30を越えた今もまだ自立の為の努力は続いていると言われていました。

お母様の話もすばらしかったのですが、その自閉症の方本人が私に言ってくれた言葉が今でも心に響いています。

「由紀子も〇〇さんのみたいな大人になったらいいなぁと思います。」という私の言葉に

『僕は(スケジュールの)変更する事と挨拶をすること、
そして、我慢をすることをがんばりました。由紀子さんもがんばればいい』


感動して涙が出そうになりました。
この3つの教えは由紀子の自立のキーワードだと思います。
あれから1年半・・・今が由紀子に本当の我慢を教える時期が来ているのかもしれません。
自分の感情のコントロールができるかどうか・・・それが自閉症の人の社会参加の大きな鍵です。

由紀子がイライラしているときには、落ち着いてから『イライラしたの?』と声をかけることにしました。
そして、『我慢をしなくてはいけない!』そう繰り返しおしえます。
長い作業になりそうです。
でも、今までも何かを身につけさせるときは月単位、年単位で教えてきました。
これも年単位・・・それ以上かもしれない。
とても転校までには間に合いそうにありません。

現在、由紀子につられて私も精神的に不安定です。
由紀子の自閉症と付き合いだして7年目・・・なんだか今が一番つらいような気がしています。
写真は由紀子が節分の日に担任の先生と描いた自分の中の鬼です。
この鬼、なかなかしぶとくて節分の豆だけでは外に出てはくれなかったようです。
「おには〜〜そと〜〜〜!」


         
久しぶりのプール2003.2.8
今日は由紀子のスイミングの日でした。
月に2回しかないので用事が重なったり、体調が悪かったりでお休みをしてしまって気が付いたらなんと2ヶ月ぶりになってました。

2ヶ月も休むと由紀子の中でプールは終わったものになってしまう。
これはまずい!!
由紀子の独特のこだわりで過去のものにしてしまうとその場所に行けなくなってしまう事が多いのです。

案の定、昨日から「プールに行かない!」コール。
でも、行ってしまえば何とかなるだろうと、抗議は無視して半分強制的に車に乗せて出発。
プールまで車で30分以上かかるのだけど今日はその時間がありがたかった。

その30分で由紀子の気持ちが落ち着いて、プールへ行く気になってくれました。
一緒に水に入って1時間、由紀子はずっと笑顔でした。

今日は今までできなかったクロールの腕の回し方がとても上手にできるようになりました。
背泳ぎではゆっくり腕を動かしながら「マンタだよ!」

マンタって知っていますか?沖縄の大きなエイのことです。
CMに出てくるんですよね!(*^-^*)

スイミングに通いだして2年目、由紀子は水の中でぜんぜん緊張しなくなりました。
そして、行きは不機嫌だった由紀子も帰りの車の中では
「プール楽しかったぁo(*^▽^*)o~♪」
やれやれ!一安心です。

誕生日2003.2.10
今日はゆきちゃんの誕生日!やっと10歳になりました。

昨日ケーキ屋さんに特別にお願いして飾りはイチゴだけの、イチゴショートのようなバースディケーキを作ってもらいました。

そのお店では写真をつかって、本人の顔やキャラクターのケーキも作ってくれるんだけど、
由紀子がそのお店のイチゴショート大好きなことを言ったら、
ケーキ屋さんも喜んで引き受けてくれました。
もちろん由紀子もおおよろこび!!

いつも、家族の誕生日のケーキを奪ってもローソクを吹き消したがる由紀子。
今日は堂々と吹き消していました。

プレゼントは「千と千尋の神隠し」の本。
全部で5巻もありましたが、家族でお金を出し合ってプレゼントをしました。

由紀子が生まれて10年。
自閉症とわかって7年がすぎました。

いろいろな事がありました。
でも、由紀子はいつもニコニコしていました。
自閉症とわかったときも私は悲しくて泣いていたけど、由紀子はずっと幸せそうでした。

これからも由紀子の笑顔を守ってやりたいと心から思っています。
笑顔のきれいな大人に育って欲しいと願っています。



                 
バレンタインデーにお熱です。2003.2.14
由紀子は毎年バレンタインデーに交流学級のお友達にチョコをプレゼントしています。
いつも由紀子を助けてくれるお友達に感謝の気持ちを込めて贈ります。

昨日の夕方、まーまーと私とでそのチョコレートの準備をしました。
カードも作って今年もかわいくできたとよろこんだのはよかったのですが、気が付くと由紀子の様子が変です。

熱発でした。
由紀子は高熱がでる時に、なぜか手と足の先がとても冷たくなります。
以前はよくこの症状にだまされて、気が付くと40度近くになっている事もありました。
今回も、もうすでに冷たくなっていました。
寒いというので慌て蒲団に寝かせて様子を見ることにしました。
夜中に38.9度まで上がりましたが、案外楽そうにずっと眠っていました。
朝には37.5度まで下がっていたのでインフルエンザではなさそうです。
病院でも検査もされませんでしたから…。

でも、残念なのは今日学校をお休みする事です。
せっかくのバレンタインデーなのに・・・。
仕方がないので私が代理でみんなの所に届けてきました。
クラスの子ども達が喜んでくれたのが救いでした。
本当に皆さんいつも優しくしてくれてありがとう!
ドタバタしていてせっかく作ったプレゼントの写真をとり忘れてしまいました。
仕方がないので中に入れたカードだけ公開!(*^-^*)


                
元気になりました2003.2.15
突然の熱発も1日で平熱に戻ってゆきちゃん元気全開です。

熱がある間は止められていたパソコンも解禁になってルンルンです。
スーパーに行きたかったようですが、今日までは外出は我慢しましょう・・・。(*^-^*)

熱が出ていた間、めずらしくずっと蒲団に入っていた由紀子です。
39度近くまで上がったのですから相当体がだるかったのでしょうね!

痙攣の発作の経験のある由紀子が熱を出すと、私はハラハラして側から離れられなくなるのですが、今回の熱発でも痙攣はありませんでした。

発作がなくなってから2年半・・・薬を止める目安の5年までやっと半分です。
このまま過ぎてくれる事を願っています。

熱が出てつらかった間、ずっと由紀子に添い寝をしてくれたのがへのもちゃんにいただいたピンクのブゥタンでした。

なんだか、2匹のブゥタンが寝ているように見えますが、大きい方は私の大事なゆきちゃんです。
お間違えのないように・・・ニャハハ (*^▽^*)

               
やめてください2003.2.16
今日は朝からご機嫌のゆきちゃん。
わがままも言わずニコニコ笑顔だったのでめっちゃかわいい!

コタツで横になっている由紀子に襲い掛かってキッス攻めにしちゃいました。o(*^▽^*)o~♪

すると初めはニコニコしていた由紀子がくすぐったがって大笑い。
「やめてください!」の連発のあとに発した言葉は・・・。
「やめてくださいtomiさん!」(私の名前です。)
「やめてください○○さん!」(次は苗字です。)
(^▽^) ハッハッハ
だって大好きなんですもの・・・
「やめられませんわ!○○由紀子さん!」(* ̄∇ ̄*)

でんわよ〜!2003.2.23
会話が上手にできない由紀子は電話が苦手です。
家族からの電話だということが分かってから話すことはできますが、
かかってきた電話に最初に出ることができません。

何とか電話になれてほしくて家族の携帯電話からかかってきた時には
音楽が鳴るようにして他の電話と区別できるようにしました。

今日は朝から母は一人で買い物に出かけていました。
その留守にねーねーから電話がかかってきたようです。

家にはまーまーとお父さんがいたのですが、たまたま2人とも居間から離れたところにいて電話に気がつかなかったようです。
めずらしく由紀子が受話器を取ったらしいのですが、その後どうしたらいいのかわからなくて
半べそで「でんわ! でんわよ〜!」と叫び続けたそうです。

電話の向こうのねーねーもびっくりです。
「ゆきちゃん!ねーねーだよ!だいじょうぶだよ!」と叫んだらしいのですが、
パニック状態の由紀子の耳には入らなかったようです。

結局、駆けつけたお父さんが電話を受け取って一件落着だったのですが・・・。
電話が鳴り出してから受話器を取るまでに
由紀子がどんな行動を取ったのか想像したらおかしくて・・・(笑)

でも、よく決心をして受話器を取ったと感心もしています。
さて、ねーねーの用事は何だったのでしょうか?

帰宅してからねーねーに電話をしてみたら・・・・
「何も用事はなかったよ。
(ρ_;)ただ・・・ゆきちゃんが元気かな?と思ってさ!」

\(^▽^@)ノ アハハ
ねーねーにはかわいそうなことをしましたが、あれほど嫌っていた電話を自分で取って、
家族に電話であることを伝えたのはすごい成長です。
もう少し練習すれば何とかなりそうです。

ピアノ2003.2.25
由紀子は先月からピアノのレッスンを始めました。
今日はそのレッスン日!
朝からピアノの先生のところに行くのを楽しみにして学校へ出かけていきました。

由紀子が音楽が好きなことは小さな頃からわかっていました。
そして、耳で聞いた音楽をキーボードで一つずつ音を拾いながら弾いている姿を見て
誰か由紀子にピアノを教えてくれる先生がいないかとずっと探していたのです。

バイエルなど使わないで由紀子のペースで、一緒に楽しくピアノを弾いてくれる先生。
しかも、我が家の経済状態では高いレッスン料は払えないから、
ほとんどボランティアで教えてくれる先生。(笑)

島ではとうてい無理な話だと思っていました。
ところが思いがけずぴったりの先生がすぐ側にいたのです。
あつこせんせい・・・養護学校に勤務した経験もある友人でした。

家を建ててピアノを購入したのを期に障害のある子どもさんにピアノを教え始めたと聞いてすぐに連絡をとりました。

引越しまで2ヶ月しかないけど、このチャンスを逃したくありません。
そして由紀子がどの程度のレッスンを受けられるのかも試してもらいたかったのです。
ありがたいことに彼女は私の申し入れを快く引き受けてくれました。

レッスンを始めて4回目。
簡単な曲を両手で弾く事に挑戦中です。

先生も驚くほど、1時間あきもせずピアノに向かっているみたいです。
由紀子の中でまた新しい可能性が芽を出したような気がします。

レッスンに行くことのメリットは他にもあります。
学校の帰りに車で先生のお宅の前まで送っていくのですが、
その後は自分でチャイムを押してご挨拶をして家の中に入ります。

レッスンが終わると私の携帯に電話をかけて
「練習が終わったので迎えに来てください。」と自分で伝えます。

一人で他のお宅を訪問する練習は協力してくださる方がいないとなかなかできないので、
とても助かっています。

もっと早くレッスンをお願いできたらよかったのに・・・と、本当に残念なのですが
由紀子がピアノの楽しさを経験できた事、そしてレッスンを受ける能力があることを確かめさせてもらえただけでもよかったと思っています。

引っ越したらまた新しい先生を必ず探してやろうと思っています。
残りのレッスンでどれだけ由紀子が成長してくれるか・・・
それも楽しみなのです。o(*^▽^*)o~♪


書きたいことがいっぱい2003.2.28
今日はいろんなことがありました。
まずは学校で学習発表会があったこと。

4年生全員の発表が体育館でありました。
由紀子は縄跳びと班のホームページの紹介と全員での合唱・合奏に参加しました。

実は私の勘違いで発表会に30分も遅刻してしまって縄跳びは観ることができませんでした。
由紀子も私が来ていないことに気がついて担任の先生に聞いたそうです。
「○○tomi(フルネーム)はどうしたの?」(笑)

どうしてフルネームで聞くのでしょうか?
なぜか最近私のことをよくフルネームで呼びますね。
ほかの発表はクラスの友達に助けてもらいながらニコニコ笑顔で参加していました。
お友達のほうが由紀子の能力はよく知っていて上手にサポートをしてくれるのです。

次は髪を切りに行った時のこと、今までできなかったシャンプーに初挑戦してきました。
仰向けに寝ることが怖くて嫌がっていたのに、今日は自分から髪を洗いたいと言いました。
初めは緊張していましたが、すぐに慣れて
一言「きもちいい〜」(笑)

最近はよくいろいろなことに挑戦してみようとするゆきちゃんです。

過敏で何でも怖がっていた以前はと少しずつ変わってきているようです。反抗期を迎えて悪いことばかり見えていたけれど、内面はちゃんと成長していたのですね!

最後は、ねーねーが帰ってきたことです。
大好きなねーねーが久々に帰ってきました。
夏休み以来です。
もう再会も大丈夫です。ねーねーの顔を見ても逃げ出す素振りもありませんでした。
一緒に御飯を食べて、一緒にお風呂に入って、今は一緒に寝ています。

明日はまーまーの卒業式です。
私が留守の間はねーねーと「千と千尋の神隠し」を見るのだと張り切っていました。

そして、その次の日はカラオケに行ってねーねーとセーラームーンを歌うのだそうです。(笑)
今日は幸せいっぱいの一日でした