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ゆきちゃんの日記
2002年10月

走れ〜!2002年10月3日
うす曇りで気持ちのよい風が吹く中で小体連が行われました。
由紀子の出場種目は100メートル走!
今までになく意欲的に練習をしてきた由紀子ですが、自閉症の子どもは環境の変化が苦手!
広い運動公園のコースで担任の先生と離れて
一人でコースを最後まで走りきる事ができるだろうか・・・。
不安はそれだけでした。
もう、記録なんてどうでもいい!

私が会場に着いた時、もう100メートル走のアナウンスが流れていました。
慌ててスタート地点に行くと、案の定、ちょっと不安そうな顔をした由紀子がいました。
由紀子!!p(*^-^*)q がんばっ♪

スタート!∠★:゜*pan〜
緊張した顔で走り出した由紀子
すぐにみんなに遅れて独走状態(笑)
私は思わず観客席の後ろをいっしょに走っていました。
途中スピードが落ちたと思った瞬間本部席から校長先生が飛び出してきて
「ゆきちゃん!がんばれー!」
その声援に背中を押されて由紀子は最後まで止まることなくゴールしました。

いつも、後半は走る事よりもみんなの声援に気が行ってしまう由紀子ですが
今回は,
「走る!」
その意志を持って走っていたように思いました。

競技が終わった後、生徒の席に行くと由紀子が私を見つけ満面の笑顔で立っていました。

「がんばったね!」

(〃⌒ー⌒〃)うん

「最後まで止まらなかったね!」

(〃⌒ー⌒〃)うん

きっと、今日の走りは由紀子の大きな自信になったと思います。

写真・・・応援に必死で撮れなかった!(;^_^A
手紙 2002年10月4日
       
帰宅した由紀子のかばんの下にくしゃくしゃになって入っていました。
道徳の時間に書いた手紙のようです。
普通の子どもなら、
「おかあさん!書いたよ!」と、
見せてくれるのでしょうに・・・・・・。

多分、文章を作る時には友達に手伝ってもらったのでしょうが、由紀子が、プールの事をお友達に語ったのだと思います。
うれしかった!
あの長かった夏休みの私の苦労は全て報われました。(ρ_;)
コスモス2002年10月6日
岐宿という所にコスモスを見にいきました。
まだ七分咲きでしたがとてもきれいでした。

毎年ここで由紀子の写真を撮るのですが、最近言葉も増えて理解力もついてきたので、
今年はちょっとポーズを指示してみました。

「ゆきちゃん!コスモスにチューして!」
「うん!」

そして次に由紀子が取った行動は・・・。
花をプチン!(*^・^)チュ☆
w(☆o◎)wが-ん・・・ちぎっちゃたよ!・・・

私の指示の仕方が悪かった・・・。
この後、まわりを見渡して、花をバックに隠してそそくさと退散してまいりました。

教訓・・・自閉症の子どもへの指示は具体的にしましょう!
「ゆきちゃん!そのお花のそばに座って、お顔を近づけてチューってして!」
でも!この場合、ポーズを要求した事そのものが間違いでしょ・・・(笑)
趣味 2002.10.17
「長崎に診察に行くよ・・・。」と、由紀子に話したら
即座に「〇サイト」と長崎の大きなショッピングセンターの名前を言いました。
いつもならその中にあるおもちゃ屋さんが目的なのですが、
今回はちょっと違います。
目的はスーパーマーケット!
でも、食べ物が目的ではありません。
売り場に吊るしてある「応募はがき」がお目当てです。

由紀子にはもう5年間も続いている趣味があります。
それはスクラップ帳作り・・・
テレビのCMで見たことのある商品の写真をいろいろなところから切り抜いて貼り付けるのです。
A4サイズの分厚いファイルがもう8冊になりました。

始まりは私が作った1冊のノートでした。
洗剤のCMが好きな由紀子の為に企業のホームページから画像をコピーして洗剤のスクラップ帳を作ってやりました。
すると、婦人雑誌に載っている広告を見つけてはそのノートに貼って欲しいと持ってくるようになりました。
そして、そのうち自分で切抜きをして貼るようになったのです。

毎月、婦人雑誌を買っては、いろいろな広告を切り抜いていた由紀子ですが、
ある日、スーパーにある応募はがきに
必ず商品の写真が載っていることに気が付いたようです。
その日から、スーパーに行くたびに売り場中を探し回るようになりました。
















商品の棚を覗き込みながら
ウロウロ・キョロキョロ・・・・
でも、この姿はとてもあやしい!(笑)
(;¬_¬)

そこで、万引きと間違えられないように透明のビニール袋を用意してやることにしました。
中身が透けて見えれば誤解される事はないでしょう!?

『取っているのは、はがきですよ〜!
商品ではありませんよ〜〜!』
親はいろいろ気を使うのです。
(ノ_-;)ハア…


長崎で回ったスーパーは3軒!
そして、集めたハガキと、クーポン券の数は約100枚!
しかも、おなじハガキは2枚とありません。

こんなに店の中にハガキがぶら下がっているなんて
由紀子の母をやらなければ気がつかない事でした。(笑)


しかし、由紀子はこの趣味のおかげで多くの事を身につけました。
まずはハサミの使い方!
はじめの頃はハサミを開く事も一苦労だったの
今ではスイスイ・・・・丸でも、四角でも思いのままに切り抜きます。

次は、レイアウト!
以前は切抜きの大きさに無頓着で、重なったりはみ出したりする事も度々でした。
でも、今はごらんのとおりスペースを考えて貼るようになりました。

そして、一番大きな学習は分類です!
数ヶ月前まで1冊のファイルにはいろいろなものが貼り付けてありました。
もう何もかもごちゃ混ぜで状態だったのです。
ところが、今ではきれいに分類して種類別にファイルをするようになりました。
現在作成中のスクラップ帳は
薬と洗剤食品雑貨おもちゃと、
それはもう見事に分類してあります。

無理に教えようとしてもなかなか身に付かないことが多いのですが、
こうやって自分の好きなことを通して学んだ事はしっかり身についていくんだなぁ・・・と
感心しながら見守っています。
そして、これはきっと将来の自立にも役に立つのではないかと
期待しています。

このファイルは由紀子の宝物で、家族でも許可なく触る事は許されません。
しかし、我が家にはこの5年間に発売された商品のデータが
ばっちり、残されているわけで・・・。
これは、きっと将来貴重な資料になると思う母は
いつかどこかに売り込んでやろうと、ひそかにたくらんでおります。(笑)
審査員特別賞 2002.10.26

去年に続いて今年もマルチメディアコンテストで入賞する事ができました。
今年は審査員特別賞をいただきました。ヾ(@^▽^@)ノ
そして、今日はその表彰式でした。
実は、母も同じコンテストの動画の部にスライドショーを応募して
由紀子と同じ審査員特別賞をいただいてしまいました。
それで、2人そろって表彰状をもらいに行ってきました。

昨日から母の方がドキドキしてなんだか落ち着きません。
だって、今年は駅前の広場で表彰式をやるというのです。
みんなが見る〜〜o(@_@;)oドキドキ
それに引き換え、由紀子の落ち着いている事!
昨日などは鏡の前で表彰状を受け取る時の手順の確認をしてました。
さすが経験者です。(笑)
ってな訳で、由紀子に付き添ってか、付き添われてか
無事に賞状と副賞をいただいて帰ってきました。
副賞・・・母はスキャナー・由紀子は図書券でした。
本が大好きな由紀子にはぴったりの商品です。

ここで、由紀子の会場での笑顔を・・・。

見るからに緊張していないでしょう?(笑)

去年、このコンテストで最優秀賞をいただいた後、由紀子は回りの期待にプレッシャーを感じたのか
パソコンで絵をまったく描かなくなりました。
みんなに『絵を描いて・絵を描いて』としつこく言われるのがいやだったみたいです。
みんな?
いえ!母です。 (≧≦) ゴメンヨー

そんな中、今年のコンテストのお知らせをいただきました。
去年の作品と賞状を見せながら恐る恐る、応募のお誘いがあったことを話しました。
由紀子の中でちょっと揺れるものがあったみたいです。

「海の絵を描いてくれる?」(今年の課題は「海」でした。)
私の誘いに久々にお絵かきソフトを起動して
バックの波を描いてくれました。
本当に波だけ・・・。(笑)
う〜ん・・・・確かに海なんだろうけど・・・
「ゆきちゃ〜ん!これだけじゃ寂しいよぉ!」
そんな私のお願いに数日後に魚を描いてくれたのです。
はじめはいやいやそうでしたが、描き始めるとけっこう楽しそうなゆきちゃんでした。
最後にはあわぶくまでサービスまでしてくれたりして・・・。

審査員の方が由紀子の絵を「のびのびと、楽しんで描いているのが伝わってくる絵」と
誉めてくださいました。
そうなんですよね。
由紀子が楽しいと感じて描けるような環境を作ってあげるのが私の仕事です。
今年はそっと見守ります。・・・誓います(o゜◇゜)ノあぃ

あの〜!母の作品も見たい方・・いるかなぁ?(^-^;)
こちらからどうぞ!
表彰状 2002.10.29
26日にもらってきた表彰状を持って校長先生の所に挨拶に行きました。
この春に転任してこられた校長先生なのですが、去年も賞をいただいていたことはご存知で、
春に学校で初めて由紀子と顔をあわせたときに『魚の絵が上手なんだよね!』と、
声を掛けてくださいました。
今回の受賞も大変喜んでくださっていると聞いたので、ちょっとご挨拶のつもりでした。

職員室で校長先生に表彰状を見せているとそこにいた先生方がみなさんで「おめでとう」と、
拍手してくださいました。
その時、由紀子の顔がキラン!☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。

私の手から表彰状をとると、両手で広げて先生方の机を回り始めました。
「ほら!見て!見て!・・・」
一人一人の先生方に誉めてもらって、もう大喜びです。
賞をもらってこんなにうれしそうな顔をした由紀子を見たのは初めてでした。。
家に帰っても
「おめでとうって・・・。ねぇ〜おかあさん!」
しばらくはテンションがあがったままでした。

こんな由紀子の姿を見て思ったんです。
賞をもらった事だけでは、由紀子には何の感慨もないけれど、
こうやってみなさんに誉めてもらって初めて由紀子の中で何かが生まれるんだと・・・。

その生まれてくるものが、時間をかけて『自信』に育ってくれたら最高に幸せなんだけどなぁ・・・。
そう思う母なのです。