1998年12月

1日(火)
買い物袋からお気に入りのこんにゃくを出して遊んでいた由紀子だが、
いざ料理をしようと思ったらこんにゃくが見当たらない。
「ゆきちゃんコンニャクちょうだい」というと
しばらく黙ってしらんぷりをしていたが
「あっ!」というように走り出して洗面所から持ってきた。
ずっと考えていたのかと思ったら
洗面所を水浸しにしていた事も叱れなくなってしまった。
最近言葉の理解が進んだような気がする。

2日(水)
今日は先日と違ってやる気万々でサンタクロースを作ったらしい。
マーカーのにおいが好きらしく
いつも鼻に近づけてはみんなに叱られているとお手紙にあった。

3日(木)
蒲団に入っていつまでも眠らないので
10:30頃電気を消して部屋に一人残してみた。
しばらく鼻歌を歌っていたけれど11:00頃眠っていた。
はじめ夜に一人で寝つく事のできた夜でした。
でも、明日は寝不足かな?

4日(金)
クリスマス発表が近づいて衣装の準備が始まった。
由紀子は聖劇で赤いドレスを着せてもらうらしく
今日衣装あわせがあった。
みんなにステキと声をかけられて、
すっかりご機嫌で踊りまわっていたらしい。
おたより帳に書いてあった事を手がかりに何か話を聞き出そうと
「赤いドレスを着たの?良いね〜!」とがんばったけど
返事は「おのうえせんせいねた!おやつたべた!」でした。
花よりだんごのようです。

5日(土)
ご飯の用意の時に
おねえちゃんがついだご飯を各自の席に運ぶのが由紀子の仕事です。
いつもはおねえちゃんに指示されながらやっているのだが、
今日は自分で茶碗を見ながら
「お父さん、おかあさん」といって配っていた。

6日(日)
トイレに行くと由紀子が大便をしたまま流していなかった。
お尻を拭いた形跡もない。
保育園では自分で拭くらしいのだが、
家では「お尻ふきふき!」と誰かを呼んで拭いてもらっている。
そしてたまにはこうやって拭かずに出てきたりする。
洋式トイレなので拭きにくいのかと思うのだが、
何とかしたいと思う。

7日(月)
毎年クリスマス発表会が近づくと
独り言が増えたり爪がなくなるほどの爪噛みが始まったりするのだが、
今年は落ち着いているような気がする。
環境の変化に弱いせいだと思っていたが、
いろいろな経験のおかげで落ち着いているのかなと思う。

8日(火)
今日はクリスマス発表かの総練習に日だった。
何回も衣装替えがあって由紀子はご機嫌だったらしい。
家に帰っても、独り言で「赤いドレス」と何回も繰り返し言っている。

9日(水)
急に寒くなったせいか風邪を引いたらしい。
夜中コンコンと咳をして苦しそうだった。
由紀子の保育園では真冬でも登園すると半袖の体操服に着替えます。
強制ではないので去年は由紀子と後何人かの子どもだけが
最後まで体操服で通しました。
今年も、と思っているのですが、
一番辛いのがこの風邪の引き始めの頃です。
ここで長袖にしてしまうともう半袖を着せる事ができなくなってしまいそうで……。
悩んだ末にトレーナーの厚手の半袖を持たせて
体操服の代わりにしてもらう事にした。

10日(木)
今日、車から降りる時に「ぼうし、もって」といった。
「かして」というのを何とかしたいと思って
「持って」といい直してやっていたら
自分でちゃんと言えるようになった。
うれしい!

11日(金)
保育園でいろいろなお遊戯を見てくるせいか、
いろいろな動きをして家族を楽しませてくれる。
今日のヒットは、「おさるさん!」と声をかけると
パッと手を頭と顔の下にかまえてポーズを取る事でした。
当日も由紀子は笑顔で勝負です。

12日(土)
今日は若竹の練習日でしたが、
風邪気味なのでお休みしてしまった。
何かの行事になると必ず体調が悪い。

13日(日)
クリスマス発表会当日。
今年の由紀子の出番は
天女の踊りと聖劇では受胎告知の天使の役だった。
天女の踊りでは、最初にみんなと同じように踊り出したので
もしかしたらこのまま最後までと期待してしまったり……。
結果はいつものようにみんなの踊りを見てニコニコしていたのですが…・。
でも、最後までニコニコと本当に楽しそうだった。

15日(火)
明日はマリアの園に訪問して発表会の踊りを見せる事になっている。
そのプレゼントにするためにクリスマスカードを作ったらしいが、
先生から折り紙が上手に折れるようになったとお手紙があった。
もちろんひとつひとつ指示をしなければできないのだが、
指先が不器用な由紀子にとって
折り紙は本当に苦手なものだった。
がんばっているんだ…。

16日(水)
マリアの園での発表が見たくて用事を済ませて車を走らせたが、
ついた時にはもう終わっていた。
私がついた時には、寝たきりのおじいちゃんおばあちゃんのベッドを
一つ一つみんなでまわってクリスマスカードを渡していた。
由紀子もみんなと一緒にカードを持って……
いつもみんなに助けてもらったり優しくしてもらうばかりの由紀子にも、
もっと弱い立場の人にしてあげられる事があるのだと思うとなんだか胸が熱くなった。

17日(木)
このところ動きが活発になった
由紀子の事を、話していたら友人がトランポリンを貸してくれるという事になった。
狭い我が家にはちょっときつい遊具なのだが持ち込んでみた。
由紀子の反応は上々で、少しずつジャンプの形ができてきた。
ほとんど上に座って本を読んでいる事が多いけど、
以前は乗る事すらできなかったのだからこれは成長でしょう。

18日(金)
今日は保育園の餅つき大会。
毎年つきたてのお餅の感触が大好きで、
いつまでも丸めているという由紀子。
今年も楽しんだようで、小さく丸めたお餅を2つ持ち帰ってきた。
でも、家に持ち帰ったお餅はもう硬くなっていて、
由紀子が大好きなお餅ではなくなってしまっている。
1年に1度だけの楽しみなのかもしれない。

19日(土)
また風邪を引いて夜中に咳が止まらない。
明日は若竹の会のクリスマス会なのに。
月曜日の療育センターも気にかかる。
市販の咳止めはちっとも効かない。

20日(日)
明日の長崎行きを考えて
思い切って五島病院の救急外来にお願いして診てもらう事にした。
ちょうど小児科の松尾先生がいてくださったので
吸入していただき薬を出していただいた。
松尾先生は転勤してこられた時から由紀子の扱いが上手だと思っていたら、
以前整枝療育園にいらしたという。
よかった、何かあった時に相談できる先生がまた一人見つかった。

21日(月)
療育センターの後に整枝療育園の相川先生に診察を受けてきた。
小学校に入ってから由紀子の主治医になっていただきたいと思っている。
入学を予定している特殊学級の担任のY田先生の恩師になられる。
4月から保育園のO上先生とも療育センターとも離れ、
担当してくださっていた保健婦さんも転勤の予定・…。
私にとっては心細い事です。
でも、相川先生は1学期に1回程度の診察をしてくださるような話だった。
よかった。

22日(火)
久し振りに泊りがけの療育だった。
T藤先生(友人)の所に泊まったのだが、
お風呂は御主人と夜寝る時は万里子先生と寝てしまった。
今、夜は一人で寝る練習をしていて、
私は寝付く寸前に蒲団から出るようにしている。
その為か眠くなると「お母さんばいばい」といって私を拒否する。
応用が利かないのでよそに泊まった時も
私以外に頼りになる人を探したつもりかもしれない。
なんとなく寂しい夜だった。

23日(水)
天皇誕生日で保育園はお休み。
クリスマスのプレゼントをまだ用意していなかったので
家族に由紀子を頼んでおもちゃやさん巡り。
ゆきこを連れていっても「いらない」としか答えないので何も選べない。
広告などを見ているのを観察して欲しそうなものを予測するしかない。
今回本当はひみつのあっ子ちゃんの鏡台が好きみたいなのだが、
お値段がよすぎて手が出なかったのでキティちゃんの鏡台にした。
喜んでくれるだろうか。

24日(木)
久し振りの保育園。
先生方へのクリスマスプレゼントを持って登園する。
毎年小さなプレゼントを全員の先生にしている。
ことしはキ−ホルダー

25日(金)
朝おきて枕元の箱を見つけて
「プレゼント!プレゼント!」と、大喜びだった。
中に入っていたネックレスや指輪をはめて
少しきどって鏡に映って見ていた。
やはり女の子だなと思う。

26日(土)
保育園でO上先生に昨日のプレゼントは何だったと聞かれ
「プレゼント、プレゼント、かがみ、キティちゃんのかがみ」と答えたらしい。
その答えにクラスの子たちが「よかったね!」と先生より早く喜んでくれたとか…。
先生は「私の出番がだんだんなくなりつつあります」といわれる。

27日(日)
今週は長崎にいった事もあって保育園には1日しか行っていない。
なんだかずっとゆきこと一緒のような気がする。
最近寒くて家の中にいる事が多かったので
久し振りに散歩に出かけた。
帰り道、いつもと違う方に行きたいと「こっち!」といって指を差した。

ゆきこの自閉症が分かる前から、
この子はどうして行きたい所を指差ししないのかと思っていた。
大きくなったら自分で勝手に行くようになったし・…
そして今日までその行動は見られなかった。
半分あきらめていただけにうれしかった。
今年最後の由紀子のプレゼントだった。

28日(月)
保育園も今年最後の日になりました。
久し振りの天気にみんなで散歩に行ったらしい。

29日(火)
おもちゃ箱のタンブリンを見つけて何か部屋で踊っていた由紀子。
声をかけると止めてしまうので見ない振りをして見ていた。
クリスマス発表会でお友達が踊っていたフラメンコの踊りのようだった。
部屋中駆け回ってほんとに上手に踊っていた。
誉めても「おしまい」といわれると分かっているので
黙って知らん顔を続けた。

30日(水)
おねえちゃんたちは暇さえあれば寝ている。
由紀子は退屈でしょうがない。
お父さんもお出かけしてしまって最悪だった。
何か遊ぶものをと思ってスーパーまで車で出かけたが、
おもちゃを見ても「いらない」という。

31日(木)
私はおせち作りに追われて由紀子の相手をしてやれない。
おねえちゃんたちを起こして相手をさせる。
やはり私よりはおねえちゃん達の方が楽しそう。
何かを頼む時「マーマー(おねが〜い〜!」と甘えた声を出していた。
その後「まり!」と呼び捨てにして次女に追いかけられていた。