1998年11月

1日(日)
ジグソーパズルに凝っている由紀子。
毎日同じパズルを何回も繰り返しやっていて、
もうすっかり覚えてしまっているので
新しいものを買ってやる事にした。
(でも、ひょっとしたら覚えてしまったパズルをする事を楽しんでいるのかもしれないのだが…。
パッパと組みあがっていくのを楽しんでいるようにも見えるのです。)
今回5個目のパズルはアンパンマン。
初めの2回ほど手伝ってやったらあとは自分ですいすいでした。

2日(月)
郵便局の年賀状発売のセレモニーに参加して太鼓を叩いた。
私が運動会でとても上手に叩いたと言ったので
たくさんの人が由紀子を見に来てくれた。
でも、道路が舞台という事もあって気が散ってしまい
運動会の半分くらいしか実力は出せなかった。
でもあの環境の中ではあれが精一杯だったと思った。
今日は別の意味で感激して帰ってきた。
太鼓が全部終わってかえるために整列した時、
由紀子と手をつないでいたO上先生が何かの用で少し列を離れた間の事だった。
由紀子が何かをじっと見ていたので動くのではないかと心配になった時、
案の定フラッと由紀子が動こうとした。
その時後ろで他のおともだちと話をしていた男の子が由紀子の手をサッと握った。
しかも話を続けながら!
あまりのさりげなさにビックリしてしまった。
まるで家族のようなかかわり方をしてもらっている由紀子の幸せを再確認した瞬間でした。
ほんの何秒かの出来事でした。
その後先生がすぐに戻られて何もなかったように歩いて行ってしまった。
わたしは独りでニコニコしながら後について歩いて帰りました。

3日(火)
休みの日は朝からスケジュールを決めるのが日課になってしまった。
1番はバリューのスーパー(食料品を買う店)
2番はマクドナルドのスーパー(最近できたスーパー)
3番はおうち・・・。
ここまで言うと必ず由紀子が「3番は?」と聞くので困ってしまう。
なにを言わせたいのか?
3番はトトロのビデオで決まり!

4日(水)
11月の22日に同じ財団の老人ホームのバザーがあって、
その時に保育園の子どもたちの作品展があります。
今年は先生に手伝ってもらって絵本を作ったとか。
どんなに仕上がっているのか今から楽しみ。

5日(木)
園児だけでの遠足。
園へ迎えに行くと両膝にカットバンが貼ってあった。
今日の勲章だった。
お風呂に入る時に剥がそうとすると
「おしまい。だめ」といい。
寝る時も「だめ、O上先生」といって剥がさせない。
もしかしてと思って「O上先生が剥がしちゃだめっていったの?」と聞くと
「そお〜!」と答えた。
なるほどです。
この魔法はO上先生にといてもらわなければ

6日(金)
先生のお手紙にはやはり自分が剥がしちゃだめと言ったと書いてあった。
先生の一言は由紀子にとって絶対なのかもしれない。
あと5ヶ月。
由紀子にO上先生の思い出がたくさんできますように、
そして忘れないように心に刻まれますように。
この出会いは由紀子にとってもわたしにとっても
最高の出会いだったと思います。

8日(日)
今日は保育のつどいに参加してきた。
福江市内の保育園が集まって親子で運動を楽しんできた。
軽い気持ちで参加を申し込んだのだが、
プログラムを見ると園児だけでかけっこがあったり玉入れがあったり、
由紀子はちゃんとやれるだろうかと少し不安になってしまった。
でも、かけっこは途中で少し止まったけれど何とか完走できたし、
他の行事も何とか参加できた。
帰りに本部席で仕事をしていたO上先生に挨拶にいったら、
よくがんばったと抱きしめてくださった。
先生も心配だったのだろう

9日(月)
久し振りの療育センターだった。
由紀子にとっても楽しみなのだが
私にとってもグループのお母さん達と逢えることが楽しみです。
みんな就学の事で悩んでいる。
私だけではないのだ。

10日(火)
今日保育園の工作の時間にはさみを鼻に突っ込んで、
もう少しで切りそうになったらしい。
先生が叱ろうと思った時、
子どもたちが「そんな事をしたら危ないでしょう。」と
由紀子のことを叱ったそうだ。
叱られた由紀子は、
みんなが自分に注目しているのが嬉しいのか
ニコニコしていたと先生が笑っていた。
なんでハサミを鼻に?
きっとお父さんの鼻毛を切る姿のせいだ!

11日(水)
保育園のお散歩の時に武家屋敷通りに行ったら、
若竹のコンサートのポスターが貼ってあったらしい。
誰よりも先に見つけた由紀子が
「ともだちいっぱいコンサート」と叫んだらしい。
まだ見たこともないはずのポスターなのに……
字を読んだのかな?

12日(木)
若竹のコンサートのリハーサルだった。
崎山保育園の保母さんがボランティアで来てくださっていたが、
休憩時間に「保育のつどいの時、由紀子ちゃんがんばっていましたね。
崎山保育園でも話題になっていたんですよ。
よく参加されましたね!お母さんのがんばりに拍手です。」
と声をかけてくださった
その時は「ありがとうございます。」と言って楽しく話してきたのだが、
よく考えてみると保育のつどいに参加したことが偉いということなのだろうか?
障害のある子を公の場に参加させることは、
保母さんにとっても大変な事なのだろうか?
そうだとしたら、
何も言わず当然のように受け入れてくださったO上先生に拍手です。

リハーサルでは、
やはり「ドラえもんの歌」が受け入れられずに耳を押さえて走り出すので、
1曲だけパスさせてもらうことにした。

13(月)
今まで毎朝見ていたポンキッキを拒否するようになって数日になるが、
今度は他のテレビも見たくないと言って泣き出すようになった。
テレビがみたいというお父さんと消せという由紀子の戦いが大変。
泣く子に勝てないお父さんがあきらめるのだが、
コンサートの練習のストレスなのだろうか。
テレビを時計代わりにしていた私はペースが狂ってバタバタです。

14日(土)
保育園に先生方のバザーの作品作りの手伝いに行った。
お昼寝の時間に行ったのだが
長くなってとうとうおやつを一緒に頂くことになってしまった。
由紀子はなんでいるの?というような顔をして見ていたが、
横に座ろうとした私に「バイバイ」といって向こうに行けといった。
仕方なく他の子の側で食べた。
大学芋を食べる由紀子をはじめてみた。

15日(日)
コンサートだった。
音楽とスポーツの間に鼻血を出して大騒ぎしたが、
何とかがんばってきました。
コンサートよりも嬉しかったのは
打ち上げの席でマイクを握って
「楽しいね」の歌を一人で2番まで歌い上げたことだった。
若竹の会の中ではいつも一人遊びをしてあまり目立たない由紀子が
はじめて自己主張をした瞬間でした。

16日(月)
保育園の七五三お祝いの日だった。
聖マリア保育園では毎年教会で神父さまの祝福を受けるのですが
、その神父さまがコンサートに友情出演していたバンドのメンバーでした。
みんなの前で、
「昨日のコンサートに聖マリア保育園の子どもも居ましたね?!どのおともだちですか?」といわれ
「はーい」と、うれしそうに答えていたそうです。

17日(火)
コンサートが終わっても朝のテレビを嫌がることは続いています。
シーンとした中で始まる1日もいいのですが、
やはりやりにくいです。

18日(水)
私のひざを枕にして寝転がっている由紀子の耳が
ちょうど良い位置にあったので覗いてみた。
すると何も見えないほど耳垢が詰まっていた。
珍しく由紀子もじっとしているので掃除をしてみたが
カチカチに固まっていて取れない。
どうしよう!今まで一度も取ったことがないのですから……
なんだか大変なことになっているようです。

19日(木)
耳垢の事を誰に聞いても、早く取った方が良いというので
お風呂上がりにもう一度挑戦してみた。
(友達の一人が、風呂上がりは柔らかくなっているといったのです。)
今日も由紀子はお利口でしたが、
硬くて取れませんでした。
明日病院へ行くことにしました。

20日(金)
ゆきこを連れて初めて耳鼻科に行った。
バスタオルにぐるぐる巻きにされ
3人の看護婦さんに押さえられて耳垢は取れました。
黒くなってカチカチと音のしそうな耳垢でした。
治療の間、ひきつけを起こすのではないかというほど泣き続け、
肩には押さえられた時のあざまでできてかわいそうな由紀子でした。

21日(土)
昨日泣きすぎたせいでしょうか、
咳が止まらず夜中に何回もおきて
親子とも睡眠不足になってしまい保育園をお休みした。
10時ごろまで寝た由紀子ですが、
起きてからは咳をしながらも元気いっぱい。

22日(日)
今日はマリアの園という老人ホームのバザーでした。
由紀子の保育園とは同じ財団になるので
子どもたちの作品展も同時にあります。
去年の由紀子の作品は
黒のマジックでグルグルやテンテンをいっぱい書いてあるだけでしたが、
今年の絵は
「お父さん、お母さん、ねえーねえー(長女)、マーマー(次女)」
と添え書きのしてある家族の顔の絵でした。
1年の成長の大きさに家族で喜びました。
添え書きをしてくださったO上先生にも感謝です。
家族の呼び方まで覚えてくださって、本当にありがとう。

23日(月)
今日はお休み。
由紀子の体調が余りよくないので1日中家の中。
私は由紀子のパジャマを作りました。
保育園で着るパジャマは全て私の手作りで通してきましたが、
とうとう最後のパジャマになってしまいました。
さびしい。

24日(火)
今日は保育園のやきいも大会で、
奥浦の保育園まで出かけた由紀子。
向こうの保育園の子どもたちと何の抵抗もなく遊んでいたらしい。
保育園のみんなと一緒なら安心なのだろう。

25日(水)
誕生会だった。
今日は玉入れをしたとおたよりちょうに書いてあったので、
蒲団の中でいろいろ聞いた。
※由紀子は白組だったこと 
※白組が勝ったこと 
※ケーキにはみかんとパイナップルとキュウイがのっていたこと…。
明日は先生にあっているか聞いてみよう。

26日(木)
正解だった。
お母さんが上手に聞き出しているんですねとおたよりちょうにあった。
うれしい。
教育委員会から就学相談の結果が来ているので
出向くように連絡があった。

27日(金)
お父さんと2人で教育委員会に行って特殊学級入級の意向を伝えてきた。
これで就学に向けての仕事が一段落した事になる。
悩んだ末に決めた事だからこれでよかったのだと胸を張っていこうと思う。

28日(土)
自分が持っているものを誰かに持ってもらいたい時に
「かして!」という由紀子。
私が由紀子のものを持ってやる時に
『かしてごらん!』というせいだろうか。
今はみんなにわかってもらえるから良いけれど、
小学校に入ったらそうは行かないだろう。
なるべく「持って」といい直しをさせるようにしよう。

29日(日)
休みの日にはサティーに由紀子と出かける事が日課になった。
相変らず、おもちゃ売り場のビデオが苦手で、
毎回恐る恐る近づいてビデオを確認する。
映っている時はトイレに向かって突進していく。
その後大回りして本屋さんへ……。
私はいつも由紀子の後をついて歩くだけで何も買わずに帰宅する。

30日(月)
朝から鼻血が出て大騒ぎをして保育園に行く。
そのせいか今日はやる気がなかったらしく、
みんながトナカイを作る時も
いつもなら一緒にハサミや糊を出して用意だけはする由紀子が
今日は何もせずみんなを見ていたらしい。